理事長挨拶

理事長挨拶

小野 滋 このたび伝統ある日本小児外科学会の第26代理事長を拝命いたしました.これまでの伝統を継承し、こどもたちの輝く未来を創造するために全力で精進してまいります。
 コロナ禍もようやく収束の兆しが見え始めた昨今、社会の変化と要望に適切に対応し必要な改革を進めてまいります。
 これまで先達の先生方々が築いてこられた我が国における小児外科のアイデンティティをさらに高め、小児外科の発信力を強化してまいります。外科医不足が指摘されて久しいですが、未だに外科医や小児外科医を目指す若手医師に十分に安心できるキャリアパスを示すに至っておりません。外科医の労働環境の改善と働き方改革を強く推し進め、スペシャリストとしての小児外科医の適切な働き方を実践することで、小児医療の充実に貢献する優秀な小児外科医を育てる環境を整えたいと考えます。学会内での若手小児外科医の意見も広く吸い上げることにより、皆でより良い未来を創造していく新しい学会の形を目指します。
 小児外科専門医制度の充実とインセンティブの構築も重要な課題であります。新専門医制度へのスムースな移行を実現し、小児外科専門医を目指す若手医師に不利益とならないようにより良い制度を構築してまいります。スペシャリストとしての小児外科医の価値がきちんと評価されるシステムの構築と、全国の施設において小児外科診療のインセンティブの獲得を目指します。
 全国レベルでの質の高い小児外科医の育成と人的交流の促進も重要であると考えております。小児外科専門医、指導医の集約化と均てん化の問題は喫緊の課題であり、施設間での人の交流と技術の融合を促進することで新しい価値や有益なシステムを創造していくことができると考えます。日本全体で将来を担う優秀な小児外科医を教育、育成するシステムを構築したいと考えています。ポストコロナのいわゆるニューノーマルを自分たちで創造していくことが求められており、学術集会の在り方や学会運営そのものもこれまでの常識に囚われず、社会の変化と要望に応じた取り組みを積極的に行う必要があります。
 様々な問題点に対して学会員の皆様のご意見をお伺いしながら、一つ一つ丁寧にかつスピード感を持って取り組んでまいります。
 令和5年4月に正式に発足しましたこども家庭庁とも緊密に連絡をとり、学会からの意見、要望を迅速に取り入れていただけるよう行政への働きかけを強化していく所存です。
 我が国の小児外科のさらなる充実・発展を通じて、地域および全国の小児医療の発展に寄与してまいります。皆さまのご支援とご協力を心よりお願い申し上げます。

令和5年6月
日本小児外科学会 理事長
小野 滋

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