小児外科で治療する病気

正中頸嚢胞


 写真のように頸部の真ん中で喉仏の上あたりに,丸い小さな固まりが出現する疾患で,多くはこどものときに発見されます.はじめはぷよぷよとした小さな固まり( 嚢胞 )として認められる事が多く,痛みや異物感などはありません.感染したり,やぶれたりすると,小さな孔から常時分泌物が出続ける 瘻孔 になることがあります.


 どうしてこんな病気が発生するかは,胎児期に甲状腺ができる過程に関係しています.甲状腺のできはじめは,舌の奥あたりに出現し,のどの真中を通って気管 のレベルまで降りてきて甲状腺となります.この通り道に甲状舌管という細い管が一時的につくられ,甲状腺ができあがるとなくなってしまうのですが,これが なくならずに残ると嚢胞や瘻孔になってしまいます.正式病名は,正中頸嚢胞(瘻)または甲状舌管嚢胞(瘻)です.

 手術では,嚢胞の他に残っている甲状舌管を舌の奥のほうに辿って全てを切除しなければなりません.そのために,腫瘤とともに,舌骨の一部を切除し更に舌の つけねまで伸びる甲状舌管を見つけだし,瘻孔が残らないように全てを切除ます.しかし,手術をきちんと行っても3%の再発例が報告されています.また成人 に至ってここから癌が発生したという報告もあり,発見されたら早めに小児外科を受診してください.

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