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第18回 日本小児外科学会卒後教育セミナー

第18回 日本小児外科学会卒後教育セミナー

講演概要

日時: 平成14年6月7日 (金)17:30-20:10
平成14年6月8日 (土) 9:00-16:20
会場: 有山記念講堂
世話人: 宮野 武 (順天堂大学小児外科)
平成14年6月7日 (金)
VII.トピックス1 17:30-18:50 司会:瀬尾孝彦 先生(名古屋大学小児外科)
1.胎児医療 (講演30分,討議10分)
国立小児病院小児医療研究センター,国立大蔵病院 千葉敏雄 先生
2.組織工学と再生医療 (講演30分,討議10分)
京都大学再生医科学研究所 井上一知 先生
トピックス2 18:50-20:10 司会:田口智章 先生(九州大学小児外科)
3.創傷治癒とサイトカイン (講演30分,討議10分)
山梨医科大学第2外科 高野邦夫 先生
4.小児外科と分子生物学 (講演30分,討議10分)
京都府立医大小児外科 下竹孝志 先生
平成14年6月8日 (土)
VIII.腫瘍1 9:00-10:40 司会:宮本和俊 先生(旭川医大第1外科)
1.神経芽腫 (講演40分,討議10分)
九州大学小児外科 田尻達郎 先生
2.ウィルムス腫瘍 (講演40分,討議10分)
放射線医学総合研究所 岩川眞由美 先生
腫瘍2 10:40-12:20 司会:山際岩雄 先生(山形大学第2外科)
3.肝悪性腫瘍 (講演40分,討議10分)
千葉大学小児外科 松永正訓 先生
4.奇形腫・横紋筋肉腫 (講演40分,討議10分)
東北大学小児外科 中村 潤 先生
IX.関連領域1 13:20-14:50 司会:西島栄治 先生(兵庫県立こども病院外科)
1.泌尿器 (講演35分,討議10分)
都立清瀬小児病院泌尿器科 中井秀郎 先生
2.脊椎破裂 (講演35分,討議10分)
順天堂大学小児外科 大城清彦 先生
関連領域2 14:50-16:20 司会:幸地克憲 先生(千葉大学小児外科)
3.外傷・救急 (講演35分,討議10分)
聖マリアンナ医科大学小児外科 脇坂宗親 先生
4.形成外科 (講演35分,討議10分)
昭和大学形成外科 大久保文雄 先生
受講希望者は小児外科学会雑誌1および2号に綴込の受講申込書に現金書留用封筒にて受講料10,000円(含む テキスト代,軽食代)を添えて後記卒後教育セミナー係までお申し込み下さい.申込締切は平成14年5月31日(金)必着ですが,定員になり次第締め切りま すので,早めに手続きを済ませて下さい.
受講者にはセミナー終了後参加章に受講印を押印し,修了証書をお渡しします.
本セミナーは年1回開催され,3年で小児外科全般をカバーするように企画されておりますので,連続して受講することをお奨め致します.なお,今年度は3年のうちの第3回目になります.
テキストに残部がでた場合はセミナー終了後に,一部3,000円で販売致します.希望者は現金書留用封筒に料金を添えて後記卒後教育セミナー係までお申し込み下さい.

講演概要

トピックス1 17:30-18:50 司会:瀬尾孝彦(名古屋大学)

1.胎児医療  (講演30分,討議10分) 国立小児病院小児医療研究センター,国立大蔵病院 千葉敏雄胎児治療とは,胎児の有する先天的異常ないし病態の性格上,分娩時まで治療開始を待てない場合に,治療開始時期を胎児期にまで遡るための手技である.その 目的は,子宮内病態の増悪を防止し,周産期死亡あるいは長期的QOL の低下を防ぐことにある.そしてこれを現実のものとしてきたのは,近年の出生前診断技術の飛躍的な進歩といえる.しかし,外科的なものも含めた治療手技, およびその基礎となる胎児病態生理の理解という点からみて,胎児治療はいまだ発展途上にあるものであり,また母体への侵襲も完全には避けえない.従って, 児の家族および一般社会から,これらの事実に対する十分な理解を得ることは,この治療を行ってゆく上での大きな前提といえる.今回はこのような点を含め て,胎児治療につき概説してみたい.
2.組織工学と再生医療 (講演30分,討議10分) 京都大学再生医科学研究所 井上一知再生医学の早急な進歩により再生医療の実用化が行われている分野も徐々に増えつつある.この再生医療実用化への核となるのが組織工学的手法である.細胞を 主役とし,それに足場となるマトリックスと成長因子が加わることにより,組織再生が可能となる.最近のstem cell biology研究の急速な進展により,主役となる細胞に関しても,種々の細胞資源を使用しうる可能性もでてきた.組織工学的手法を用いて発展してきた再 生医療の現状と展望について,私達の行なっている研究を紹介しながら概説する.

トピックス2 18:50-20:10 司会:田口智章(九州大学)

3.創傷治癒とサイトカイン(講演30分,討議10分) 山梨医科大学第2外科 高野邦夫創傷治癒学は種々の侵襲に対する生体の防御反応とその過程に関する学問であります.我々外科医は何らかの外科的侵襲を加えながら,それ以上の効果を期待し て,病態の改善や治癒を行っているわけであり,外科医にとって創傷治癒の研究は極めて大切な分野であります.すなわち,創傷治癒学の進歩は,とりもなおさ ず外科医の歴史でもあるとも考えられます.最近,分子生物学の進歩により,創傷治癒のメカニズムが新たな観点から解明されてきました.そこで,とくに本稿 では,創傷治癒とサイトカインにスポットをあてながら,最近の知見をふまえて小児外科医に必要な創傷治癒に関して解説を試みたいと考えています.
1.創傷治癒の基礎
1) 創傷治癒の概念
2) 創傷治療の歴史
3)創傷治癒形式の選択
4)創傷治癒過程
5)創傷の強度の変化
6) 創傷治癒に影響する因子
2. 最近の創傷治癒に関する新しい知見:創傷治癒とサイトカイン
3. 小児外科疾患におけるサイトカインと今後の展望.
4.小児外科と分子生物学 (講演30分,討議10分) 京都府立医大小児外科 下竹孝志本来小児外科医の仕事は,小児外科疾患を的確に診断し,手術を執刀し,術後の管理に全力で取組むことに尽きる.しかし,先天性奇形や腫瘍など,病態発生に 遺伝学的素因や遺伝子変異の関わりの指摘されるものが小児外科の主要な疾患に少なからず認められ,分子生物学的知見を理解することが,新たな手術術式の開 発や治療成績の向上に結び付く可能性がある.
今回のセミナーでは,近年飛躍的に進展した分子生物学領域の新たな知見のうち,小児外科の診療に役立てうるものにスポットを当てて簡潔に紹介し,ともに学んでみたい.

VIII.腫瘍1 9:00-10:40 司会:宮本和俊(旭川医大)

1.神経芽腫 (講演40分,討議10分) 九州大学小児外科 田尻達郎神経芽腫は,小児固形悪性腫瘍の中で小児外科医が治療に携わる頻度が最も高い疾患である.腫瘍自体が生物学的多様性に富んでおり,非常に悪性度が高いもの から,自然退縮するような腫瘍も存在し,症例個々における悪性度に適した総合的治療が必要である.今回,その疾患概念,臨床像,治療法等の他に,現在,腫 瘍の悪性度を最も効果的に判定できる分子生物学的分野の研究と神経芽腫の臨床像の関連についての最近の知見も述べたい.
2.ウィルムス腫瘍 (講演40分,討議10分) 放射線医学総合研究所 岩川眞由美Wilms腫瘍は,1899年にMax Wilms(ドイツ外科医)が発表して以来この名前で呼ばれている,胎生期後腎構成細胞由来の腎芽細胞腫である.一部を除いて,手術により,腫瘍及び腫瘍 発生側腎の摘出が可能で,外科医の果たす役割が大きい.アメリカのNational Wilmsユ Tumor Studyの努力により病期 I ,II では90%以上の生存率を呈する.治療指針及び関連遺伝子等研究面でのトピックスを解説する.

腫瘍2 10:40-12:20 司会:山際岩雄(山形大学)

3.肝悪性腫瘍 (講演40分,討議10分) 千葉大学小児外科 松永正訓肝悪性腫瘍の大部分を占める肝芽腫を中心に,その生物学的特性と治療成績につき解説する.肝芽腫は,他の小児固形腫瘍と比べ,これまで治療面,研究面で大 きく遅れをとっていた.日本では1991年に発足したグループスタディにより,系統的治療および基礎研究が大きく進歩し,全体の治療成績も漸く明らかに なってきた.また,βカテニンの遺伝子変異は肝芽腫発癌のメカニズムに根源的に関わっている可能性が示されている.本セミナーではこれらの最新の知見を紹 介する.
4.奇形腫・横紋筋肉腫 (講演40分,討議10分) 東北大学小児外科 中村 潤胚細胞腫瘍ならびに横紋筋肉腫は小児外科領域における5大固形腫瘍を構成するが,本邦では欧米のIntergroup Rhabdomyosarcoma Studyに代表されるようなグループスタディーが未だ行われておらず,一定の治療プロトコールが確立されていない現状にある.本講では,両疾患における 基礎的ならびに臨床的事項につき自験例を紹介しつつ示すとともに,最近のトピックスについても触れる予定である.

IX.関連領域1 13:20-14:50 司会:西島栄治(兵庫こども)

1.泌尿器 (講演35分,討議10分) 都立清瀬小児病院泌尿器科 中井秀郎「小児泌尿器領域の形成・再建手術と術前術後評価」
小児泌尿器科の代表疾患である,先天性水腎症,膀胱尿管逆流症,尿道下裂について,1)術前評価法(a)手術適応,(b)術式選択,(c)手術リスク)2)手術手技 3)術後評価法(手術成否の最終判定)を概説する.
2.脊椎破裂 (講演35分,討議10分) 順天堂大学小児外科  大城清彦小児外科領域における二分脊椎(以下本症)との関わりは,本症に認める膀胱直腸障害の治療・管理が中心となる.膀胱障害は,神経因性膀胱(低容量低コンプ ライアンス膀胱)となり,尿失禁の軽減,腎機能の温存を目的に治療管理が行われる.直腸障害では,難治性便秘(S状結腸の過長,宿便の停滞),便失禁を認 める.本症の膀胱直腸障害に対する保存的・外科的治療を中心に解説する.

関連領域2 14:50-16:20 司会:幸地克憲(千葉大学)

3.外傷・救急 (講演35分,討議10分) 聖マリアンナ医大 脇坂宗親外傷・救急に対する小児外科医の関わりは,各施設により異なると思われる.しかし小児外傷に対する社会的,医学的な関心は増加しておりその対策は今後重要 である.また小児外傷は多発外傷が少なくなく,その際全身管理ができる小児外科医の果たす役割は大きい.今回我々が経験した小児外傷・救急への対応と症例 を呈示し,小児外傷の特性とその治療方針について述べる.また熱傷患児や,被虐待児への対応と処置についても概説する.
4.形成外科 (講演35分,討議10分) 昭和大学形成外科 大久保文雄形成外科は身体外表を治療する外科学の一つであり,先天形態異常,外傷,腫瘍に美容外科を加えた4つの分野が主な治療対象となる.手技はもちろん外科的手 技を用いるが,機能改善のみならず,形態改善を主眼の一つとすることに特徴があるいえる.先天異常を扱うことが多いことから小児外科との近縁疾患も少なく ない.こんかいはわれわれの扱う対象を紹介するとともに,小児外科医に必要とされる形成外科的基本手技について述べる.

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