頬や首、脇の下などによくできるリンパ液の溜まった大小の袋からなる良性の腫瘍(できもの)です。先天的に見られることが多く、リンパ管の形成異常(出来上がるときの間違い)とも考えられています。良性ですので転移することはありませんが、大きくなることが多く、場所によっては気道(息の通る道)を圧迫して、呼吸困難を来すため緊急処置が必要になることがあります。
以前は、手術で取り除くことが治療の原則でしたが、腫瘍が筋肉の中や、大事な神経・血管のすきまに入り込んでいるときには全部を取り除くことは困難で、無 理をすると大事な神経や血管が傷つくこともあります。このため、特殊な薬をリンパ管腫の中に注入し小さくする方法がよく行われています。薬を注入後に一時 的に熱が出たり、腫れがひどくなることがありますが、傷も残らず良い方法です。時間をおいて、何回も繰り返して注入します。ただし、リンパ液の袋が大きいタイプではよく効きますが、小さい袋がたくさん集まったタイプでは効き方は劣り、腫瘍の場所と大きさによっては手術が必要になることが多くあります。
なお、生まれつきの腫瘍ですので、お母さんの妊娠中の超音波検査で見つかることもあり(出生前診断)、大きなものでは小児外科医の立ち会いのもとに出産になることもあります。