小児外科で治療する病気

メッケル憩室

概念 
 憩室とは,管状の臓器(腸,血管,尿管)または袋状の臓器(膀胱,胆嚢など)の壁の一部が,焼もちが膨れるように外へとび出た袋状の突起物を指します.
 メッケル憩室は,小腸の中間部分にみられる袋状の突起物を指します.19世紀ドイツの解剖学者Meckelが,はじめて正確な記録を残したのでその名を とって名づけられました.ヒトの胎児のごく初期に卵黄管という管が臍帯(へその緒)と小腸との間に一時的に発生しますが,この卵黄管はまもなく消えてしま います.ところが,卵黄管が消えずに残ったときにメッケル憩室になります(図1).

図1 メッケル憩室

発生頻度と症状
 亡くなった方の解剖例の2%くらいの人にみられますが、大部分は無症状に経過し、症状が出るのは4%前後と言われています。主な症状は、下血あるいは腹痛です。患者さんにより出血、腸閉塞、憩室炎を起こすタイプに分かれます。メッケル憩室は腸粘膜で被われていることが多いのですが,一部に胃粘膜が存在することがあり,胃粘膜から分泌された胃酸によって小腸に潰瘍ができ,そこから出血することがあります。この出血は,一度に大量に出ることが多く,痛みなどの前触れなく下血することがあります。胃酸を分泌する細胞が存在する場合は、アイソトープを用いた99m(テクネシウム)Tcシンチ検査(図2)で診断できます.

図2 99m(テクネシウム)Tcシンチ検査

治療
 下血で発症する場合には、ひとまず胃潰瘍の薬を投与して、止血された後に待機手術も可能です。腹痛で発症する場合には、虫垂炎や他の原因による腸閉塞などとの区別はかなり難しいので,手術をして初めてメッケル憩室と診断されることもあります。腹腔鏡という内視鏡を用いて小さな傷から切除する方法も,行われています.

外部リンク

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